『たむら市政だより』2025年7月号 LED照明の省エネ効果の算出根拠と、その他のお勧めポイント
2025年12月12日
『たむら市政だより』7月号の連載記事「ちょこっとエコライフ~身近な省エネを実践しよう!~」Vol. 23「LED照明をただしく理解しよう」に記載したLED照明の省エネ効果の算出根拠と、その他のお勧めポイントについて紹介いたします。
家庭における消費電力量の内訳
図表1は、夏季および冬季について家庭における電力消費が特に多い日の電力消費割合を示したものです。2018(平成30)年度の調査ということですので少々古いデータですが、夏季はエアコン34.2%、冷蔵庫17.8%、照明9.6%で6割を超えています。冬季はエアコン等32.7%、冷蔵庫14.9%、照明9.3%で6割近くを占めています。

[出典]平成30年度電力需給対策広報調査事業の結果より作成。
[引用]経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」「家電製品別の電力消費割合を知ろう!」(以下のURL)より引用。
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/)
図表2の2021(亚洲通_亚洲通官网¥娱乐网址3)年度調査分の家庭における消費電力量の内訳を見ると、電力消費の上位3位の電化製品は、エアコン14.7%、冷蔵庫14.3%、照明13.5%と変わっていません。節電の際にはこれら消費電力の大きいものから省エネに取り組むのが効率的です。そこで、今回照明を取り上げました。

(注)四捨五入のため、合計は100%にならない。
[引用]全国地球温暖化防止活動推進センター「デコ活」「5-11 家庭における消費電力量の内訳」(https://www.jccca.org/download/12981)よりダウンロード。
LED照明の省エネ効果の算出根拠
ここでは、白熱電球や蛍光灯を同じ明るさのLEDに交換した場合の年間電気料金削減額とCO2排出量の削減量を計算してみましょう。図表3は、LED照明と白熱電球?蛍光灯との消費電力を比較したものですが、54Wの白熱電球は、同じ明るさにすると7.5Wの電球型LEDランプに交換できますので、約86%の省エネとなります。また、68Wの蛍光灯シーリングライトは、同じ明るさにすると34WのLEDシーリングライトに交換できるので、約50%の省エネとなることがわかります。

[引用]全国地球温暖化防止活動推進センター「デコ活」「5-20 LED照明と一般電球?蛍光灯器具との消費電力比較例」(https://www.jccca.org/download/13323)よりダウンロード。
次に、図表4では、白熱電球や蛍光灯を同じ明るさのLEDに交換した場合の年間電気料金削減額とCO2排出量の削減量を計算してみました。54Wの白熱電球から7.5Wの電球形LEDランプに交換すると、消費電力は約86%削減となるので、年間2,000時間使用した場合、年間93.0kWhの省エネとなり、電気代は約2,640円節約することができ、CO2は約37.4kg削減できることになります。また、68Wの蛍光灯を34WのLED照明に交換すると、消費電力は約50%削減となるので、年間2,000時間使用した場合、年間68.0kWhの省エネとなり、電気代は約1,930円節約節約することができ、CO?は27.3kg削減できる計算になります。

[出典]
*1:年間削減量は、資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/index.html#1)を参照。年間2,000時間使用した場合。
*2:金額換算係数
電気は、東北電力従量電灯Bの電力量料金120kWhをこえ300kWhまで36.37円から燃料費調整単価7.96円(2025年7月)を引いて算出。
(https://www.tohoku-epco.co.jp/dprivate/plan/home/lightb/)( https://www.tohoku-epco.co.jp/dprivate/attempt/adjust/adjust_value/pdf/202507.pdf)
*3:「年間電気料金削減額」は、1円の位を四捨五入して算出。
*4:CO2排出係数
?電気は、環境省「電気事業者別排出係数一覧 亚洲通_亚洲通官网¥娱乐网址7年提出用 東北電力(株)」より参照。
(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/calc/r07_denki_coefficient_rev.pdf)
LED照明と一般電球?蛍光灯器具とのトータルコスト比較
また、一般電球の寿命が約1,000時間、蛍光灯シーリングライトに使われている蛍光ランプの寿命が約6,000時間に対し、電球形LEDランプやLEDシーリングライトの寿命は約40,000時間と言われ、1日平均10時間点灯した場合だと、約10年程度ランプ交換の必要がない*5と言われています。 LED照明の寿命は約40,000時間と長く、交換にかかる費用や手間も減らせます。電気代が少なく寿命が長いため、LED照明の値段が高くても長い目で見れば、LED照明のほうがお得になります。図表5では、左図の一般電球の場合、電気代と電球代のトータルコストはわずか9か月ほどで逆転して、LEDランプのほうが白熱電球よりもコストは安くなると試算されています。また、右図の蛍光灯シーリングライトの場合でも、トータルコストは約3年で逆転すると試算されています。
*5: 環境省「デコ活」「LEDはどれくらい長持ちするの?」
(https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/action/goods/)

[出典]「あかりの日委員会」日本照明工業会「住まいの照明 省エネBOOK【LED Q&A】」22~23ページより引用。
(https://www.jlma.or.jp/siryo/pdf/pamph/2019syoenebook.pdf)
すべての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)の製造?輸出入の禁止が決定
2023年に開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」において、水銀による健康や環境への影響を防ぐため、一般照明用の蛍光ランプ(蛍光灯)の製造と輸出入は、段階的に規制され2027年末までにすべて禁止となることが決まりました*6。
*6: 環境省「一般照明用蛍光ランプの規制」「一般照明用の蛍光ランプは2027年末までに製造?輸出入禁止になります」(https://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp.html) 経済産業省「蛍光ランプの廃止について(特設)」(https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/mercury/fltokusetu.html) 一般社団法人日本照明工業会「全ての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)について製造?輸出入の禁止が決定」(https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont09_mercuryLamp.htm)を参照。
一般社団法人日本照明工業会では、図表6のパンフレットを作って、「既設の蛍光灯器具をLED化する際は器具交換を推奨します。10年経過した照明器具は点検し交換の検討が必要です。照明器具の耐用の限度(15年)を過ぎると故障率が増大し、続けて使用するには危険が伴うので、ただちに交換することを推奨します。」とし、「安全と安心のため、お使いの照明器具の適正交換時期を確認いただき、蛍光灯照明器具からLED照明器具へのお取替えを、ご検討くださるようにお願いします。」と呼び掛けています。
[出典]一般社団法人日本照明工業会「全ての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)について製造?輸出入の禁止が決定」(https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont09_mercuryLamp.htm)より引用。
国際環境経済学科 米山